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アルプススタンドのはしの方
2020.07.31金より公開/鹿児島ミッテ10にて

【あらすじ】

甲子園一回戦のとある球場。球場の応援席のはしの方で
・野球のルールも良く分かんない演劇部の女子ふたり、安田さん田宮さん
・挫折し野球部を辞めた、藤野くん
・エースピッチャーに密かに思いを寄せる優等生、宮下さんの4人。

あと、そこに時折くる、熱血押しの先生。と、
吹奏楽部部長の美少女。スクールカーストの上位であろう美少女。

スター・注目から一番離れたこのアルプススタンドのはしの方でも
人知れず、あるドラマが巻き起こっていた。

【観て思ったこと】

学校の全校応援に嫌々きているこの4人。
たまたま応援席のはしっこで近くに居合わせたこの4人。
共通しているのは自分に“しょうがない”と言い聞かせた4人。

・野球で挫折した。頑張ってもしょうがないよな？俺間違ってないよな？の藤野くん。
・頑張った！できる限りのことをした！でも舞台に立てない。しょうがないんだ。の安田さん
・そんな安田さんに気を使い、しょうがなく合わせる、田宮さん。
・エースに想いを寄せるが、自分じゃ釣り合わないよな…。しょうがないと言い利かす宮下さん。

吹奏楽部の美少女部長に嫉妬しながら、エースピッチャーに嫉妬しながらくっちゃべる4人。

そんな4人のところに、たまにやってくる、熱血押しの先生。

「心をひとつに！」
「人生は空振り三振の連続だ！」
「人生は送りバントだ！」

と誰もが知っていながらも口にできないことを声高らかに言う先生。
※観ているこっちがむず痒くなる…。

改めて、この“しょうがない”という言葉。
よく使うし、丸く収まるし便利な言葉なのかもしれません。

でもふと思ったら結構、残酷な言葉なのかな…なんて。
誰からも教わってないのに、学校で教科書にでてくるわけでもないのに自然と身についてしまうこの“しょうがない”。
またやっかいなことに多感な学生時代はしょうがないに加え、スクールカーストという現実も追撃してくる。

大人になってもこのしょうがない。はすごく便利で、
自然とみんながこの“しょうがない”を駆使して日々を過ごしていることでしょう。
凄腕ともなると“しょうがないバリア”を張ることで助かることだってある。

魔法の言葉！“しょうがない”！
この言葉の開発した人はきっと賢者と称される人だったに違いない。

でも、振り返ると、我々はしょうがないを使い過ぎたのではないか…。
しょうがない中毒・依存症。
その副作用で、熱量を奪われ、斜に構える症状が出るときも…。

みんな、きっとそうだと思う。そんな甘くないもん。
ゲームで例えるなら難易度高め設定なのかもしれない。

しかもやっかいなことに、スクールカーストに加え、
留めを差しにくる、前向きポジティブマン。という強敵。
※本作で言うとこの熱血先生。

打ちのめされて、せっかく折り合いをつけようとしているのに、
前を向こう！顔をあげよう！自信をもって！と追い打ちをかけてくる。
遂には「人生は空振り三振の連続だ！」なんていう必殺技も繰り出してくる。

凹む。そんなの知っている。できていれば苦労してない。勘弁してくれよ。

どうだ、人間！日本人！この世はこの“しょうがない”が支配した！
しょうがないの前にひれ伏すがよい！と言われているような本編かに思えたが…。

ここである勇者が立ちあがる。
そうアルプススタンドのはしの方の4人だ。
注目・青春からほど遠いこの4人が、立ち上がる。

「本当はしょうがないなんて思ってない！」
と各々の苦い部分と向き合うにつれ、物語も一気に加速していく！

もちろん、しょうがないを倒せるとも思っていない。
自信をもって！なんて安っぽい言葉で終わらす話でもない。
少しでも、しょうがないに爪痕残すため、一矢報いるため、
しょうがないに立ち向かうため自分の本音をさらけ出すこの4人。
絶対できるとは言えない。でも少しでもしょうがないに抗ってやろうというこの4人。

そして、ここで敵に思えた先生の言葉が突き刺さる

「人生は空振り三振の連続だ！」

成功なんて期待せず！泥臭くでもやりたいことを！
サンボマスター風に言うとできっこないをやらなくちゃ。だ！
ただ思いっきり打席に立ってフルスイングしてくる。自分の本音に向き合ってみる。

こうして、応援席のはしの方の4人のおかげで、しょうがないは力を弱め、世界に平和が訪れた。

でもしょうがないは、きっとどこにでもいて、また出現することだろう。
いつかこれでよかった。までこの４人の戦いはつづくのであった…。完。

改めて文章読み返すとまったく別物の映画紹介みたいになってしまった。
でも、個人的にはこんな映画。
テンションあがってしまうのも、しょうがない。

良かったら是非。

＃アルプススタンドのはしの方
＃鹿児島ミッテ10
＃8/2(日) 13:00から 舞台挨拶中継付上映回あり